スキーボードの得手不得手

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スキボの得手不得手

スキーボード、ファンスキーと普通のスキーでは、その短さゆえに見た目は大きく異なります。しかし実際に滑走をしてみると必要となる滑走技術には大きな差はないことが分かっていただけるかと思います。

普通のスキーが滑れる方であれば問題なくスキボを扱うことが出来ますし、逆にスキボにしか乗ったことがなくても多少の慣れは必要ですが普通のスキーをするのに大きな苦労はないと思います。

しかし全く同じと言うわけではなく、スキーボード、ファンスキーと普通のスキーでは滑走と言う点において異なる点も多々存在します。ここではスキーボード、ファンスキーが得意とすること、苦手であることをそれぞれお伝えしたいと思います。

<スキボの得意なこと>

  • 操作性
  • グラウンドトリック
  • エアトリック
  • 集団パフォーマンス

<スキボの苦手なこと>

  • 登り斜面のリフト待ち
  • 高速滑走時の安定性
  • 突然の前傾、後傾荷重
  • パウダー滑走

これらのスキーボードの得手不得手を正しく理解して、楽しく安全にスキーボードを楽しんでいただきたいと思います。

なお、ここで挙げる得意なこと・苦手なことはスキーボード自体の性能によるものであり、個人の持つ滑走技術によってはこれらが当てはまらないことがあります。

また苦手なことに挙げた分野はスキーボードの性質上苦手とされているだけであり、全く出来ないわけではありません。個人の力量によってはスキボダでありながらここで挙げた苦手分野を得意としている人もいるので一般論として捉えていただければ幸いです。

スキーボードの得意な事

スキーボード、ファンスキーが得意とすることを解説していきます。

スキボの得意なこと:操作性

スキーボード、ファンスキーは操作性が非常に良いです。スキボの特徴である板の短さのためスキー板自体が非常に軽く、また普通のスキーよりも短いので滑走時の雪の抵抗が少なく非常に取り回しがしやすいです。そのため『スキーボードの魅力』でも取り上げましたが、初心者でも比較的簡単に滑れるようになります。

しかし操作性の良さと言うのは初心者のためだけのメリットではありません。

板の操作性が良いと言うことは色々な動きが出来ると言うことであり、色々な動きが出来ると言うことはそこにさまざまな可能性があると言うことに繋がります。

後述のグラウンドトリックやエアトリック、接近パフォーマンスなどもこの操作性の良さから来ているスキーボード、ファンスキーならではのメリットと言えるでしょう。

つまり板の操作性の良さと言うスキーボード、ファンスキーのメリットは初心者から上級者まで、全てのスキボダを対象にした大きなメリットであると言うことになります。

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スキボの得意なこと:グラウンドトリック

スキーボード、ファンスキーの最大にして最も幅広いメリットがグラウンドトリック、略してグラトリです。

今までグラトリと言えばスノーボードが大きなパフォーマンスを発揮しており、その他はフリースタイル系のスキーヤーの一部がグラトリをしているに留まっていました。

スノーボードのグラトリは板の反発を利用した飛びや回転が主体です。それ以外には板の前方や後方に体重を預けるプレスと言ったものや滑走系のグラトリもありますが、いずれにしても滑走中に飛び跳ねるような動きをするスノーボードのグラトリはダイナミックで大きな注目の的となります。

一方でフリースタイルスキーのグラトリは板の前方、もしくは後方に体重を預けるプレス系のグラトリが主体です。それにその場で回転するスピンなどを組み合わせたものがあります。スキー板はその長さのためにその場で出来るグラトリのバリエーションは少ないですが、地形を利用して行うグラトリが多く、スノーボードのグラトリとはまた違ったダイナミックさがあります。

さてスキーボード、ファンスキーのグラトリはと言うと、その場で行うスピン系やプレス系から滑走しながら行えるグラトリまで幅広いトリックがあり、スノーボード、フリースタイルスキーの両者の特徴を備えています。

更にスキボにはスキー板の短さを利用したスキボ独自のグラトリが多数存在します。その一例を挙げてみます。

  • ランニング:その場で走るような動作をする
  • クロスステップ:板を交互に交差させる
  • オープンレッグ:脚を180度開脚させて滑る
  • アバーブザヘッド:片足で滑走してもう片足を後方から頭の上まであげる

このほかスノーボードやスキーでも出来るその場で回転する『グラウンドスピン』や板の前方(もしくは後方)に体重を預けてスピンする『ノーズスピン(テールスピン)』など、スキボが出来るグラトリの種類は非常に多岐に渡っており、グラトリこそがスキボの花形と言っても過言ではないと言えます。

スキボの得意なこと:エアトリック

スキーボード、ファンスキーのエアトリック、いわゆるキッカーについては賛否両論あると思いますが、敢えて得意なこととして挙げたのは空中での自由度に注目して欲しかったからです。

この話はキッカーの基礎が出来ていると言う前提での話しになりますので、簡単にキッカーの基礎について触れておきます。

キッカーとはゲレンデにおけるパークエリア内の特殊地形の一つです。ジャンプ台と表現すれば大半の方にもご理解いただけると思います。キッカーを飛ぶにはそれなりの技術や慣れが必要で、これらを習得していること=基礎が出来ていると言うことになります。

キッカーを飛ぶために必要な技術とは以下になります。

  1. 正しい姿勢を維持しつつキッカーにあった適切な速度で進入する
  2. バランスを崩すことなく正しく踏み切る
  3. 空中でバランスを維持しつつパフォーマンス(エアトリック)を行う
  4. 衝撃を吸収してしっかりと着地する
  5. 着地後も転倒することなくしっかりと滑りぬける

多少の表現上の齟齬はあるかもしれませんが、言葉で表現するとおおよそこのようになります。簡単なようで実践するのは非常に難しいので、これからチャレンジしようと言う方は経験者に指示を仰いだ上、小さいキッカーから何度も繰り返し練習することをオススメします。

さて話を戻します。

スキボの得意とするエアトリックとは上記のうち(3)に関わってきます。

スキボの板は普通のスキーと比べて非常に軽量のため、普通のスキーでは難易度が高いエアトリックであってもスキボであれば比較的簡単に行うことが出来る場合はあります。

但し!

繰り返しますが、これはキッカーを飛ぶのに必要な技術を習得しているのが前提であり、(1)~(5)まで全ての工程をある程度の基準以上で出来ることが前提の話となっています。

キッカーの熟練度が低いと非常に危険な場合があると言う表裏一体の面もありますのでくれぐれもご注意ください。詳しくは後述の『苦手なこと』の中で解説します。

しかしながらそれを差し引いてもスキーボードのエアトリックにおける空中での自由度はメリットと呼んでも差し支えないものであると考えるので、敢えて取り上げました。

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スキボの得意なこと:集団パフォーマンス

スキーボード、ファンスキーの集団パフォーマンスは動画サイトなどでスキボ関連の動画を探したことがある方であれば一度は目にしたことがあるかと思います。スキーやスノーボードでもトレイン滑走などの集団によるパフォーマンス滑走は見ることが出来ますが、スキーボードの集団パフォーマンスは内容や距離感が違います。

全長100cm未満と言う長さは両手を広げた長さよりも短く、例えば手をつないで滑走しても板同士が干渉することは少ないです。これを活かして複数人で手をつないで行うグラトリ、特に手をつないで行う息のあった集団クロスステップなどはもはやスキボの代名詞とも言えるトリックです。

またパークエリアにおけるジブやキッカーなどでもスキーボード、ファンスキーの集団パフォーマンスを見ることが出来ます。文字通り手を伸ばせば届く距離、或いは更に接近して肩と肩が触れ合う距離で行うトレインパフォーマンスは、互いにそれなりのレベルが必要となりますが、他のギヤでは体験できない一体感を感じることが出来ると思います。

各個で滑っていても独特のグラトリなどで楽しめるスキーボード、ファンスキーですが、仲間とワイワイ楽しむことにこそスキーボード、ファンスキーの本当の楽しさがあるのです。

スキーボードが苦手な事

スキーボード、ファンスキーの苦手とすることを解説していきます。

スキボの苦手なこと:登り斜面のリフト待ち

スキーボード、ファンスキーは登り斜面となっているリフトの待合が非常に苦手です。スキボの最大の特徴である板の短さにより普通のスキーよりも雪面抵抗は少なくなるのですが、それは裏を返せばちょっとした斜面でも滑りやすいと言うことになります。

もちろん板を斜面に向けて真横にするなどすればよいのですが、リフト待ちのような混雑した場所で板を真横にするのは意外と難しいものです。

リフト待ちエリアが全て斜面であれば予めそのような体勢を取ることもできますが、例えばリフト待ちエリアに斜面と呼ぶにはあまりにも小さな緩い斜面があった場合でも、スキーボードでは踏ん張りきれず滑ってしまうことがあります。このようなほんの僅かな登り斜面でもしっかりと踏ん張っていないとその場に留まり続けることが難しいのがスキーボードなのです。

解放式ビンディングであればいっそのこと板を脱いでしまい、斜面が終わったら再度板を履くと言ったことも出来ますが、スキボの多くは固定式ビンディングなので一度脱いでしまうとリフト待ちのようなスペースがないところの再装着は意外と手間がかかります。

滑走とはまた別になるのですが、スキーボードにはこうしたささやかな弱点があると言うことを覚えておいてください。

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スキーボードの苦手な事:安定性

スキーボード、ファンスキーは板が短くて取り回しがしやすいのですが、気をつけないと板が不安定になることがあります。ここで言う板が不安定とは、雪面に対して板のエッジがしっかりとグリップせず、雪面の細かい凹凸に対して細かく板が振動してしまう状態のことを指します。

ゆっくりと滑っていれば板が不安定になることはありません。この現象の発生原因は速度に応じた滑走姿勢がしっかりと取れていないことよるもので高速滑走時に多く発生します。

高速滑走をすること自体はスキボに限らずスキーでもスノーボードでもさほど難しいことではありません。なるべく高く斜度がある斜面をブレーキをかけずに直滑降すれば誰でも簡単に速度を出すことが可能です。難しいのはどんな速度であっても滑りや速度をコントロールすることです。

しかし普通のスキーの場合、速度によって自分で滑りをコントロール出来なくなることはあっても、板が不安定になるということは滅多には起こりません。つまりこの現象はスキボの特徴である板の短さによる雪面抵抗の少なさが引き起こすスキボ特有の現象なのです。

但しこのスキボ特有の板が不安定になると言う現象は速度に応じた滑走技術があれば発生を防ぐことが出来ます。どんな速度であっても正しい姿勢で正しい箇所にしっかりと圧力をかけながら滑れば板が不安定になることはありません。つまり技量によってはこのスキボの弱点と言える高速滑走時に不安定さと言うのは弱点ではなくなると言うことであります。

とは言え一般的にはどうしても出てきてしまう問題です。経験を重ねていけば解決できる弱点ではありますが、十分に気をつけてくださいね。

なお、正しい姿勢などについては個人にあったトレーニング方法があるので深くは掘り下げませんが、『滑走やトリックの覚え方』で触れているので興味がある方はご覧ください。

因みに速度を出すと板が不安定になると言う現象はキッカーのアプローチ(ジャンプ台への進入時)においても影響があります。キッカーは大きさにより適切な速度で進入することがもっとも大事なのですが、速度を出さなくてはいけないと言うキッカーと速度を出すと不安定になるスキーボード。キッカーの大きさやアプローチエリアの荒れ具合にもよりますが、およそ7~8m程度以上となるとこう言った影響も出てくると言うことを覚えておいて下さい。

スキボの苦手なこと:パウダー滑走

スキーボード、ファンスキーにとってパウダー滑走と言うのは、ここまであげた2点と比較しても残念ながら大きな弱点と言わざるえます。リフト待ちの斜面は横を向いたり板を脱ぐなどの対策が出来ます。板の不安定さは個人の熟練度により解決できます。しかしながらパウダー滑走と言う面においてはスキーボードの特性上、どうしても限界がある分野になってしまいます。

スキーにはマウンテンと言う分野があります。これは人工的に圧雪整備されていない雪面を滑る滑走スタイルです。ヘリコプターで行くような本格的なマウンテンから、板を背負って山頂目指して登るバックカントリーまでさまざまあり、皆さんもスキー動画などで目にしたことがあるかと思います。この分野に用いる板、いわゆるパウダー板と呼ばれるスキー板は雪面に対して大きな浮力を得ることが出来る構造となっています。

その特徴は板の太さと形状にあります。板の太さは幅が130mm以上、太いものでは150mmを超えるものがあります。通常のスキーの幅がおよそ80~90mm程度と考えると、その太さがうかがい知れると思います。

また形状はロッカーと呼ばれる板の前後が船底のように反り上がった形状になっています。この反り上がりは板の種類によりますが、平均的に板全体の長さの約2割程度、前後あわせると全体の4割が雪面に沈み込まないために反りあがっている形状となっているのです。

この太さと形状で深い雪面であっても板が雪に沈み込まず、柔らかな雪の上を空中を浮くような感覚で滑走することが出来るのです。

さて、スキーボード、ファンスキーの構造を改めて見てみます。太さは板の種類にもよりますがおおよそ100cm程度。形状は一般的なキャンバー形状。太さは普通のスキー板よりやや太いものの、普通のスキーがそのまま短くなったような形状です。もちろん普通のスキーとは特性が大きく異なるのですが、ことパウダー滑走と言う面においてはパウダー滑走に特化していない長板とスキーボードは大きな差はないと言えるのです。もっと言ってしまえばスキーボードは板の太さがあっても板が短い分だけ普通のスキーよりも浮力を得づらく、パウダー雪面に入り込んだ途端に潜水艦のように板が雪の中にずぶずぶと沈んでいくこととなります。

ではスキーボード、ファンスキーではパウダー滑走は出来ないのでしょうか?

実はとある条件下であればスキボでもパウダー滑走を楽しめる方法ががあります。

それは斜度が激しい斜面で荷重を後傾荷重にすることです。

激しい斜度と言うのは具体的数字基準はありませんが、板の先端が水平に近くなるほど板の後方に体重を預けても転倒しない程度の斜度が良いと思います。もちろん通常のゲレンデであれば板が雪面からすっぽ抜けて転倒してしまうだけですが、パウダー雪面でこの姿勢をとると新雪を押しつぶすようにして滑走することが可能なのです。

雪を押しつぶしながら滑走するので、パウダー滑走の醍醐味である空中浮遊のような浮遊感を感じるのはなかなか難しいですが、雪の積もり具合と速度によってはそれに近い感覚を得ることが出来ます。もっともそれだけの雪量があるとこは余程限られた場所となるので、そこに行くつくこと自体がなかなか難しいと思います。

またこの滑走方法は滑走中にずっと後傾を維持しなくてはいけないので、脚への負担は尋常ではありません。数本滑っただけで一日分や或いはそれ以上の疲労感が蓄積してしまうと思います。

それでもスキーボード、ファンスキーでパウダー滑走が出来ると言うこと自体に意味があり、この滑走を好む人も少なからずいたりするようです。

スキボの得意なこと、苦手なこと まとめ

さていかがだったでしょうか?ここでは一般的に得手不得手をあげてみましたが、いずれの分野も個人の力量や趣向を凝らせば得意な面、苦手な面は表裏一体であったりします。

スキーボード、ファンスキーは自由な滑走が一番得意なのです。どこまで自由に滑るかは皆さん次第なので、ここに挙げたことは一般論程度と考えて、怪我がないように色々なことにチャレンジしてみてくださいね。

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